専門家養成プログラム

(1)ファミリービジネスを総合的に支援できる専門家を養成します。

ファミリービジネス支援センターでは、ファミリービジネスを総合的に支援できる専門家養成を、セラピーの視点から行っています。特徴は3つあります。1つは、「セラピーの見方」を取り入れていること。2つは、「総合的」であること。3つは、「交渉の観点」を採用していることです。

(2)「ファミリービジネス」×「セラピー」が求められる背景。

非ファミリービジネス(一般企業)は、「オーナーシップ(株式)」と「ビジネス(事業)」とから成っています。企業の株主総会における物言う株主(オーナー)と企業(ビジネス)との対立について、報道される機会が増えてきました。その2側面が対立することは少なくありません。なぜならば、ビジネスを営んでいる人物と、ビジネスの株を所有している人物とが異なり、利害が一致しないからです。

ファミリービジネスは、より複雑です。なぜなら、「オーナーシップ」「ビジネス」に「ファミリー(家族)」が加わった、3側面から成るためです。良質なファミリービジネス経営には、3側面への同等の眼差し、3つを総合する力、3つを好循環させる能力が求められます。短期であれば、「ビジネス」だけ、あるいは「ビジネス」と「オーナーシップ」のみに目を向けて、何とかやり抜くことができます。しかし、ファミリービジネスの中長期的成功、繁栄、幸福を考えるのであれば、「ファミリー」への配慮が欠かせません。「ファミリー」~たとえば、夫婦間、親子間、きょうだい間~の仲たがいによって、「ビジネス」や「オーナーシップ」が内側から破壊されないように、また味方だと思っていた家族メンバーに後ろから刺されないようにしなければなりません。

従来のファミリービジネスへの支援には、たとえば、事業承継がありました。が、それは、あくまで株、不動産、金融資産の所有、つまり「オーナーシップ」面に限定されたものです。あるいは、「ビジネス(経営)」面のみに向けたコンサルティングに特化されていました。

が、それらはいずれも、ファミリービジネス全体の部分的な支援にしかなりません。「ファミリー」面へのケア(配慮)が欠けているため、「ファミリー」に禍根を残すことになりかねません。たとえば、事業承継が失敗した場合だけでなく、成功した場合でも「ファミリー」を絶縁の危機に誘うことがあります。

セラピーには、事業承継が数字の上でうまくいったり、M&Aが成功したりしたにもかかわらず、相談にいらっしゃる人がたくさんいらっしゃいます。従来のコンサルティングやアドバイスに、ファミリービジネスを「総合的」に見る視点がないからです。視点があったとしても、具体的に働きかけるための技術やツールを持っていないためです。

専門家養成プログラムでは、そうした点に問題意識を持った専門家、ファミリービジネスの当事者、この領域にご関心のある人に向けたものです。「ファミリー」面を入れた総合的支援を行いたい人のためのものです。

(3)総合的に支援する、とは具体的にどういうことでしょうか?

ファミリービジネスは、「ビジネス」「ファミリー」「オーナーシップ」の3側面から成ります。3つの関心事、利害は異なります。たとえば、「ビジネス」面での関心事は、〈利益〉です。一方、「ファミリー」面で大切なことは、〈人間関係、心身の成長、健やかな情緒〉です。3側面は、そのままにしておくと、対立し始めます。各側面にかかわる人間同士の問題による場合もありますが、それが本質ではありません。3側面にまつわる構造的問題があるためです。3つが、構造的に異なる関心事、利害を持っているからです。ですので、対立が発生するのは自然です。

自然ですが、ファミリービジネスにはマイナスです。そこには適切な介入が不可欠です。ここで求められるのが、「交渉術」「コミュニケーション力」です。3側面には、それぞれ違う専門家が関与します。「ビジネス」面では経営コンサルタント、「オーナーシップ」面では税理士、会計士、弁護士、司法書士、金融機関、ファイナンシャル・プランナー、保険の専門家、宅建士、「ファミリー」面ではファミリーセラピストが、支援を行います。そこで大切なのは、異業種専門家同士の協働です。それには、「交渉力」や「コミュニケーション力」が問われます。しかし、この2つについて、トレーニングを受けている専門家は多くありません。そのため、ファミリービジネスを真に「総合的」に支援することに、支障が出ています。この問題を解決するために、実践現場で有益な「交渉術」「コミュニケーション力」を身に着けることは不可欠です。

(4)専門家養成プログラムは、次の人に向けたものです。

——経営コンサルタント、税理士、会計士、弁護士、司法書士、金融機関、ファイナンシャル・プランナー、保険の専門家、宅建士のあなたへ。
セラピーの見方を入れたファミリービジネスへの総合的支援は、新しく独自の支援を可能にします。従来の経営、財務、税務、金融コンサルティグを拡大深化させ、あなたの専門性を、オンリーワンのものにしてくれることでしょう。

——セラピスト、コーチ、キャリアカウンセラー、ケースワーカー、ケアマネジャー、看護師、医療関係者のあなたへ。
セラピーやコーチングを必要としているファミリービジネスが、多数あります。「ビジネス」面、「オーナーシップ」面について学び、ファミリービジネス全体への総合的サポートについて、ご一緒に学びませんか?

——ファミリービジネスの当事者のあなたへ。

——ファミリービジネス・セラピーに関心のある初心者のあなた、その他一般の方へ。

(5)5つの専門家養成プログラムをご用意しています。

  • (a)ファミリービジネス・カウンセラー
  • (b)ファミリービジネス・セラピスト
  • (c)ファミリービジネス・シニアセラピスト
  • (d)ファミリービジネス・コーチ
  • (e)オーナー・コーチ

ファミリービジネスでは、1個人が複数の重要な役割を担います。たとえば、ある人はビジネス場面で「経営者」、オーナーシップ場面で「大株主」、ファミリー場面で「父親」の3つの役割を生きなければなりません。特にオーナーシップ面は複雑です。それが、ビジネスとファミリーの2側面にかかわるためです。「大株主」には、心の中で「経営者」と「父親」という2つの役割を話し合わせ、意見の違いを交渉し、統合、意志決定する必要があります。この内的プロセスをいい形で進めるには、心に柔軟さ、健康、リーダーシップが求められます。

ファミリービジネスは、ビジネス、オーナーシップ、ファミリーの異なる3側面から成りますが、同じく、個人の心の内側も異なる3側面を抱えています。専門家養成プログラムでは、専門家が、クライエントの心の3側面、3役割に関するコミュニケーション、交渉、統合を支援する力を身に着けます。

(6)養成プログラムでは、総合的「ケーススタディ」を試みます。

ロースクールやMBAプログラムの「ケーススタディ」と、セラピーの「ロールプレイ」「アクションメソッド」とを総合して、ケース(事例・症例)を〈自分事〉として内側から理解します。従来のケーススタディは、「ビジネス(経営)」面と「オーナーシップ(株式の所有権)」面とからなる一般企業に関するものです。ファミリービジネスは、そこに「ファミリー(家族)」面が、有機的に関係します。ファミリー面に配慮した「総合的ケーススタディ」をご提供します。

取り上げるケースは、
「林原」「大塚家具」「出光」「大同生命」(日本)
「グッチ」「バルディーニ家」(イタリア)
「ギネス」(アイルランド)
「フォード」「マッケイン」「SCジョンソン」「フランシス・フォードコッポラ家」(アメリカ)
「ステインバーグ」(カナダ)
などです。

その他中華圏、東欧圏のケースから学びます。また日本の中小零細企業のケースも複数取り上げます。

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