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#8 引退後の人生を支援する

ファミリービジネスの永続性には、適切な時期における世代交代が欠かせません。たとえ先代のオーナーや社長が有能であったとしても、次期オーナー、次期社長に早い段階から経験を積ませることが必要です。世代交代がうまく行かず、ビジネスが停滞しているケースは少なくありません。

青虫がさなぎに、そして蝶へと変態する「質的変化」過程を、「通過儀礼」といいました。それは、子供から大人になる時期だけでなく、先代のオーナーや社長が、次期オーナーや社長に役割を移行する場合にも必須です。多くのオーナーや社長にとって、それは試練です。先代オーナー社長の引退には、大変な試練が伴いますが、私たちはその過程に立ち会い、役割譲渡を支援します。

引退後の人生には、さまざまな課題、可能性が控えています。その中で、見過ごされている1つが、家族の再生です。オーナー社長はビジネスに忙しく、家族に目を向けることのできていない場合が少なくありません。引退して、はじめて家族に目が向いた、ということがままあります。

逆の言い方をすると、現役時代、家族を知らないままのオーナー社長が大変多い。

家族は、ビジネス抜きの素の自分でいられる安心、安全な場です。社会的役割を外して、裸の自分でいられるところです。しかし、オーナー社長だけでなく、そのパートナー、子供も、安心してくつろげる家族を持っていないファミリービジネスが、たくさんあります。

定年退職後、目的、目標を失ってつらい毎日、やることがなく気分が落ち込んでいるオーナー社長には、家族に目を向けていただき、ご自分のため、パートナーのため、子供の幸福のために、家族の再生に取り組んでいただきたいと考えます。

私たちが、精いっぱい支援します。

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#7 世代間連鎖を断つ

ファミリービジネスでは、家庭内暴力、アルコール依存症、うつ病など、心的-関係的マイナス資産が、世代を超えて承継されることが少なくありません。ファミリー・セラピーでは、「ジェノグラム」と呼ばれる家族図をもとに、マイナス資産の世代間連鎖を見抜き、その悪循環を断つことを試みます。それにより、長年続いた家族の悩み、苦しみ、痛みからの解放、回復、癒し、家族の問題の解決を目指します。

ジェノグラムは、「家系図」とは異なります。家系図は、家系をたどって家の「ルーツ」を探すためのものです。一方ジェノグラム(家族図)は、世代を超えて繰り返される家族の心的ー関係的「パターン」を見抜くものです。マイナスのパターンを断ち切り、プラスのパターンを強化し、好循環を生み出すことを支援します。

家族には、金銭、不動産、株式といった物的資産と異なる、心的-関係的資産があります。ファミリー・セラピーは、家族の心的-関係的資産に着目しながら、家族支援を行います。

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#6 ガバナンスを見つめ直す

近年ビジネス領域で、ガバナンス(統治、指針)の重要さが言われるようになりました。それは、ファミリーでも同じです。家族を世代を超えて豊かに、幸せに、平和に永続させるには、ガバナンスが欠かせません。以前はそれを、家制度が担っていました。民法から家制度が消え、家制度に抵抗を持つ家族や個人が多い現代、新たな「ファミリー・ガバナンス」創造が急務です。

心理学でガバナンスを表す1つに、深層心理学者C.G.ユングの「セルフ(Self、自己)」があります。大文字のSで始まる自己は、「大いなる自己」と言われるものです。ユングは、「私」を統治するのは、「私」ではなく、「私」が気づいていない「大いなる自己」「大いなる私」だと考えました。それは、心の「深層」に潜む自己あるいは私です。

私たちは、家族の深奥にも「家族の大いなる自己(family Self)」が潜在すると考えます。「家族の大いなる自己」を顕在化し、それに従って深みのある家族のファミリー・ガバナンス(家族統治、家族指針)創造を支援します。

「セルフ」の特徴は、「中心化」力です。セルフが機能すると、物事、出来事、事象が自ずと集約し始めます。バラバラだった家族が集約し、つながり、結合力が生まれます。

ファミリー・セラピーでは、「家族の大いなる自己」を見出し、活性化のための支援を行います。

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#5 横のやり取りを応援する

家制度にあったコミュニケーションは、上意下達です。それは、目上の者の気持ちを目下の者が忖度することです。それに対して、夫婦を中心とした現代の家族では、横のコミュニケーションが必要です。

弱小だった日本のラグビーを世界水準にまで押し上げ強靭にした功労者のエディ・ジョーンズ氏は、ラグビー界に巣食っていた先輩後輩間における上意下達や忖度を廃止し、横のコミュニケーションを積極的に取り入れました。多国籍メンバーからなるラグビー・ジャパンに、横のコミュニケーションは必要不可欠でした。

縦ラインの崩れた現代の日本の家族では、それまで隠蔽されてきた多様性が、明らかになってきています。たとえば、LGBTQ+の家族メンバーが、声を発するようになっています。多様性が明らかになった現代の家族を強靭にするには、横のコミュニケーションが求められます。それには聞く力、表現力、対話力を磨く必要があります。

ファミリー・セラピーを通じて、現代の家族に必要なコミュニケーションを身に着けませんか?

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#4 危機対応を行う

警察白書によると、日本の凶悪犯罪は年間約1,000件です。そのうちの半数以上が家族がらみの犯罪です。家族は、現在の日本で、最も治安の悪い場所です。家制度は、家全体では父親が、きょうだい間では長男が権力を持つ不平等なシステムです。法的に消失したにもかかわらず、今でも慣習的、心理的に残っている家制度が、家族における暴力の重要な要因となっています。

なぜでしょうか?

理由の1つは、現在の法律では、家族が民事不介入の治外法権的閉鎖空間になりうるからです。そこが、前近代的な専制主義的小国家のようになっていても、見えないためです。〈外部〉の目が入らないからです。「ビジネス」には、〈外部取締役〉が加わるようになりました。ファミリー・セラピストは、「ファミリー」における〈外部取締役〉の役割を担います。今でも慣習的、心理的に残っている家制度に目配せし、暴力が生まれる構造に切り込みます。特に「暴力の再生産」を注視し、適切な介入を行います。緊急対応が必要な場合は、警察、配偶者暴力相談支援センター、精神科、司法と協働します。

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#3 家制度の影響を見る

民法が前提とする現代の家族は「核家族」です。それに対して、明治民法の家族は「家制度」からできていました。家制度は現代民法からなくなりました。しかし、いまだに慣習としてまた心理的に、家制度に影響を受けている核家族やファミリービジネスはたくさんあります。家制度的家族は「直系家族」あるいは「日本的家父長制」といわれます。そこでは、年長者、特に父親が権力を持ち、長男が全財産を受け継ぎます。親子関係および兄弟姉妹関係は不平等です。特に、「女性」と「子供」は差別の対象です。

一方、現行民法は男女間、兄弟姉妹間の平等を保障します。家族やビジネスの資産、財産を平等に分けなければなりません。

しかし、ファミリービジネスの研究によって、オーナーシップ(事業の所有権)は、1人かごく少数に集中させることが、ファミリービジネスのサステナビリティにとって有利であることがわかっています。その1人に、長男が選ばれることが少なくありません。家制度の影響が残っているためです。が、それは不平等です。そうしたことから事業承継が混乱し、恨みつらみや足の引っ張り合い、敵対関係、絶縁状態に陥っているファミリービジネスが多々あります。

本来、「オーナーシップ(事業の所有権)」や「ビジネス(実際の事業)」の承継と、「ファミリー(家族)」の承継とは、質(クオリティ)がまったく異なるものです。にもかかわらず、その質的違いはあまり説明されてきませんでした。たとえば、オーナーシップやビジネスでは、数値化や合理的判断が欠かせません。一方、ファミリーは好き嫌い、愛や憎しみ、親密さと疎遠さ、といった損得、利害、打算を超えた情緒的人間関係からなります。それは、数値化できるものでも合理的に割り切れるものでもありません。

ファミリービジネスは、質の違うオーナーシップ、ビジネス、ファミリーの3つからなる「それ以上分割不可能な1つの全体システム」です。それぞれ質が違うため、手を入れず自然なままにしておけば早晩矛盾が明らかになり、「分割」していきます。

ファミリー・セラピーでは、数字で割り切れない情緒的人間関係からなるファミリーの内実を直視し、そのシステムを改善します。その上で、またそれと並行して、ビジネスやオーナーシップとファミリーとのバランスの取れたウィンーウィン関係を育成します。

事業承継は、数字や合理だけで進むことはまずありません。なぜなら、家族の情緒的関係が絡んでくるからです。そのため、表面上うまくいっているように映る事業承継の水面下で、恨みつらみ憎悪が渦巻いていることがままあります。すると、事業承継を経験した兄弟姉妹世代ではもとより、その子供世代、また孫世代で、潜在していた先代家族の問題が浮上したりします。

中長期的に見ると、大変な事態を引き起こしたりします。そうならない場合でも、兄弟姉妹関係は、表面的で冷たいものになりかねません。家族関係が冷戦状態に陥り、コンタクト(接触)しなくなります。そして、コンタクトしたときには「一触即発」状態になって、「お家騒動(家族内戦争)」が始まったりします。それを予防したり、最悪の状況に陥っているファミリービジネスに適切な介入、危機対応をするのが、ファミリー・セラピーです。

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#2 源家族の影響を見る

現代の家族の中核には、「夫婦関係」があります。夫婦関係は夫の源家族と妻の源家族との影響を受けています。夫婦は夫個人と妻個人とからだけではなく、夫と妻の源家族の融合または化学反応から成ります。現代の夫婦の多くは、夫と妻の源家族(特に妻の実家)からの影響に無意識、無頓着です。ファミリー・セラピーは、夫と妻の源家族の影響をていねいに紐解きながら、家族の問題に取り組み、また家族の強みをサポートします。

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#1 役割を明確にする

ファミリービジネスでは、役割の錯綜や混乱が絶えません。なぜでしょうか?1人の人間が、幾つもの役割を担うためです。たとえば、会社での社長が、ファミリーでは父親であり、大株主であったりします。この人は、「社長」「父親」「大株主」という3つの役割を背負っています。うまく行っていないファミリービジネスでは、ビジネス場面で社長を「お父さん」と呼んだり、ファミリー場面で父親が「社長」としてふるまったりします。これは場面と役割の混乱です。

家族は、ビジネス場面で(父親を)「社長」と呼ばなければなりません。ファミリー場面では、(社長は)「父親」としてのみふるまう必要があります。それぞれの場面にあった的確な役割を抽出し、それを十全に生きることがファミリービジネスをスムーズに、健康に機能させるうえで不可欠です。