ファイナンシャル・セラピー

心理的トレーニングを必要としているファイナンシャル・プランナーと、ファイナンシャル教育のニーズのあるセラピストが協働し、生まれたのが、新しい業際分野「ファイナンシャル・セラピー」です。

目次

ファイナンシャル・セラピーとは

アメリカ心理学会のレポートによると、近年アメリカ人がストレスを感じる最大の要因の1つが、ファイナンス(金銭)です。にもかかわらず、サイコセラピスト(心理臨床家)は、クライエントのファイナンスの問題や悩みに臨機応変に応答することができません。ファイナンスに関する専門的トレーニングを受けていないためです。

一方、アメリカのファイナンシャル・プランニング協会によると、ファイナンシャル・プランナーが提示する合理的なファイナンシャル計画に、肯定的反応を示さないクライエントが少なくありません。心理的問題が障壁となっているためです。心の課題が潜在していて、それが良質なファイナンシャル・プランを拒んでしまうのです。心理的テーマが、ファイナンシャル・プランナーには見えません。

ファミリービジネスでいうと、家族メンバーは「ビジネス面」で、他の従業員と同様、金銭について合理的に取り扱われるべきです。「ビジネス面」での金銭的やり取りは、合理、利害、損得、打算、ギブ・アンド・テイクからなります。一方、「ファミリー面」では、利害、損得、打算を超えた、ギブ・アンド・ギブや情が基盤になければなりません。

このように「ビジネス面」と「ファミリー面」の2つを混同すると、問題が生じます。

では、「オーナーシップ面」ではどうでしょうか?
ファイナンスに大いに関係のある株の所有権について、どんな姿勢が適切でしょう?

もっと言えば、「理」と「情」とに、どう取り組むといいのでしょうか?

ご一緒に考えませんか?

金銭がらみのよくある問題

負い目

1つめは、「負い目」です。負い目は、親が子供に、子供が親に、きょうだいの間に、しばしば生じます。負い目を解消するために、非合理的な金銭の使われ方が行わることもあります。たとえば、子供に負い目のある親は、子供に無尽蔵に金銭を与えたり、多数の株式を非合理的に譲渡したりします。逆もあります。親に負い目のある子どもは、どこまでも、いつまでも親に金銭を貢ぎます。

「負い目」が、「負債」となっているためです。心の負い目が、心の負債となるのです。そして「心」の負債が、いつの間にか「金銭」的負債あるいは借金と誤解されていったりします。すると、負い目を感じている親は子供に、「心」でではなく、「金銭」で、負債を返そうとします。心の負債を抱いている子供も親に同じ誤りを犯します。

が、「金銭」をいくら与えても、負い目はなくなりません。なぜでしょうか? 負い目はもともと「心」についてのことで、「金銭」に関わることではなかったからです。

では、どうするといいのでしょうか?

アフルエンザ(affluenza)

よくある問題の2つめは、世界中の富裕層の子供の間に蔓延する「アフルエンザ(affluenza)」です。”affluenza”は、”afflence(富)”と “influence(インフルエンザ)”とからなる造語で、「金満病」「消費伝染病」と訳されます。甘やかされて育った富裕層の子供が、多額の消費行動の責任をとれず、親がその尻拭いを繰り返し行う、といったことがアフルエンザです。

たとえば、ファイナンシャル・リテラシー(金銭に関する基本的読み書き)が身に着いていない子供が、ギャンブル依存、ゲーム依存、買い物依存に陥って、カード破産するケースが多々あります。ファミリービジネスが代々続いていたり、地方の名士的存在だったりすると、その尻拭いを親が行います。ご近所の目や世間体を気にするからです。恥が関係しているため、問題の本質を見つめる代わりに、金銭で何とか済まそうとします。

しかし、子供に代わって親が何度支払いを繰り返しても、ギャンブル依存、ゲーム依存、買い物依存は収まりません。本質は、「金銭」でも「ギャンブル」でも「ゲーム」でも「買い物」でもなく、「心」や「親密な関係」にあるからです。

金満病を患う子供は、無謀で、自己および他者破壊的な問題行動を続けます。
背景には、自己愛性パーソナリティ障害の潜む場合も少なくありません。

アフルエンザは、放っておくと、きょうだい間、友人間でインフルエンザのように伝染すると言われます。どうするといいのでしょうか?

摂食障害

よくある問題の3つめは、摂食障害です。摂食障害の人は大量の食物を摂食し、嘔吐することがあります。が、自分のお金は決して使わない、といったケースがほとんどです。自分のお金は貯めておき、パートナーや親のお金を消費します。それを疑いようのない権利と考えていて、罪悪感を抱きません。盗食といった行為もまま見られます。時に何十万円、場合によっては何百万円、いや何千万円単位の金額を費やします。

摂食障害とそれに伴う盗食も、依存症の一種です。アメリカのFFI(家族企業研究所)の年次大会では、毎年「依存症」がテーマとして取り上げらえています。ファミリービジネスの永続性を考えるうえで、避けて通れない最重要課題の1つだからです。

依存症には、恥、決まりの悪さがまとわりつき、世間体が気になって、つい目をそらし、先送りしがちです、しかし、放置されると、ファミリービジネスの金融、人間関係、心を内側から蝕みます。

こうした場合、どうしたらいいのでしょうか?

是非ご相談ください。具体的解決策をご提案します。ファイナンス(金銭)は、ファミリーにおける最も重要なテーマの1つです。解決に向けた取り組みでは、「金銭」「心」「関係」の3点から見ていくことが欠かせません。従来のコンサルタントでは、太刀打ちできない難題です。

ファミリービジネス支援センターでは、ファイナンシャル・セラピーを通じて、ファミリービジネスにおけるファイナンスの問題、悩み、痛み、負い目に取り組みます。必要な場合には、精神科医、弁護士などと連携し、対応させていただきます。

ファイナンシャル・セラピーを是非ご活用ください。

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